ユズの物語
目次
第1部: ユズの妊娠
ユズ（仮名、27歳）が妊娠に気付いたのは2カ月間、生理がなかったからだ。2023年3月、友達に「薬局で検査薬買ってきなよ」と言われ、ネットカフェのトイレで使った。すぐに判定部分に陽性を示す赤い線が現れた。 「げっ」 思わず声が漏れた。最初に思ったのは「誰の子だよ……」。望んだ妊娠ではなかった。
第2部: セフレとの出会い
歌舞伎町の路上を「居場所」にし、売春する女性たちの物語を描く「ルポ 路上売春」。第1部は、ユズの妊娠をきっかけに、彼女が捨てたはずだった過去に迫ります。
- 第1回 3年間の「立ちんぼ」生活
- 第2回 妊娠、そして帰郷へ
- 第3回 隠していたもの
- 第4回 誰にも知られなかった街
- 第5回 遠く離れても19歳で街頭に立つモモを描く
第3部: 妊娠の告白
第3部は8月20日ごろ公開予定です。次の日、産科がある近くのクリニックを受診した。エコー写真を撮り、赤ちゃんの影を見せられた。「12週ですね。元気に育っていますよ」と看護師に言われたが、実感はなかった。「相手はたぶんセフレだろうな」と何となく思った。 セックスだけを互いの目的にした相手がいた。その数カ月前、東京・日暮里の性風俗店に短期間勤めた時の男性客だ。20代ということ以外は何も知らない。 「最初は客だったけど外で会っていた。イケメンだったからタダで、しかも（避妊せず）ナマでやってた。（子どもは）できないと思ってたんだけどな」 相手にはLINE（ライン）で妊娠を告げたが、「おめでとう」と返ってきただけだった…