目次

1. はじめに
2. 研究結果
3. 遅れの理由
4. 結論

はじめに

日本の研究者が研究テーマに取りかかる時期における国際的な遅れについて、東京大学を含む研究チームが行った分析結果が発表されました。この研究では、日本の研究者が世界の最先端から平均1年～1年半程度遅れて研究テーマを選ぶ傾向が明らかにされました。詳細な内容について以下で説明します。

研究結果

研究チームは、オランダの学術出版大手エルゼビアが提供する世界最大級の文献データベース「スコーパス」を使用し、1970年以降のあらゆる分野の学術論文約7100万本（全て英文）を分析しました。研究テーマが取り上げられた時期や傾向を国別に調査した結果、以下の傾向が明らかになりました。

• 米国は研究テーマに最も早く取り組み、世界をリードしている。
• 日本は平均1年～1年半程度遅れて研究テーマに取り組む傾向がある。
• 英国は米国とほとんど時差がなく、ドイツは数カ月遅れ。
• 中国は1～2年程度遅れている。

遅れの理由

日本が研究テーマ選びで「後追い」状態にある理由について、研究チームの浅谷公威（東京大学特任講師）は以下のように分析しています。

「研究費を申請する際、研究テーマの独自性を強調するよりも『米国で流行している研究』などとアピールする方が審査に通りやすいことが一因ではないか」

結論

この研究から明らかになったことは、日本の研究者が研究テーマ選びで国際的な遅れが生じている一因として、研究費の申請プロセスやアピール方法が影響している可能性があることです。研究者が最先端の研究トピックに取り組むためには、国際的な交流と最新の研究動向に対する理解が重要であると指摘されています。